サンライフ田中との一年戦争

私はいまでも怒りに満ちている

 戦闘の場所は東京都のJR中野駅南口側、つまり駅の改札を旧中野サンプラザと反対側。そしてそこをに出てしばらく歩いた場所にかつてあった「サンライフ」という AV(オーディオビジュアル)機器を販売する量販店です。その店長「田中」と店員の「鈴木」この2人との間で争いがありました。昔の話ですし、よくある名前なのでこの二人は仮名を使わず実名で書くことにしました。

 私はいまでも怒りに満ちている。

ビデオデッキ EV-S900

 この戦闘が行われたのは、遠い昔 1989年の頃だったと記憶します。私はまだ18歳で、バブル崩壊まであと2年といった時期でした。この「サンライフ」という店でビデオデッキを買ったのがことの始まりです。メーカーは SONY。製品は videoHi8 という新しい形式を採用した機器で、SONY が力を入れて作っただけのことはあり販売価格は18万円というなかなか金額でした。ビデオデッキにこれだけ銭を出してしまうとは、ちょっと感覚が狂っていたのかもしれません。しかし、狂わせてくれるほど1980年代の SONY 製品には魅力があったものです。

※上記画像引用出典元:”SONY” あるいは”ソニー坊やと呼ばれた男

店員鈴木

 なんにしても、手に入れるには店に行き銭を払う必要があります。ところがこのビデオデッキ EV-S900型は人気があるのか SONYが少ししか生産しなかったのか不明ですが、どこのお店に行っても在庫がありません。そういえば、当時の噂話でSONYは消費者の購入意欲を上げるためにわざと少なめの生産しかしていなかったというものがありましたが、実際どうなのでしょう。

 色々と店々を見て回ったら、この「サンライフ」という店で一台だけ在庫がありました。担当は「鈴木」で、私はえらく喜んだものです。しかしちょっと気になることがありました。店頭に見本のビデオデッキがおいてありました。それ自体は珍しいことではないのですが、埃は被っているし、本体にある再生・停止などのスイッチに指で押した洗浄でも取れれない跡が付いていました。気になって、そのてんじひんのシリアルナンバーを控えたほうが良いのかも、と思いつつ控えなかったのが最大の後悔です。

製品到着

 18万円も出して購入したビデオデッキが自宅に到着しました。喜びに満ちて開封すると、お店にあったビデオデッキとまったく同じく指で押した汚れがついていました。つまり「サンライフ」は中古品を新品と偽って送ってきたのです。しかも18万円もする製品を。

 さて、苦情を店に述べなければなりませんが、ビデオデッキで録画したいものが1点有ったのでそれだけ録画しました。このことが長く尾を引くことになります。

「頭おかしいんじゃないのか」鈴木

 早速、店から中古品が送られてきたことについて苦情を述べに行きました。担当は販売した「鈴木」です。何を話したのかよく覚えていないのですが確か、

「私」中古品を送ったのだから交換か返品をしてほしい。
「鈴木」1回でも使ったのでそれはできない。(中古品を送ってきつつ)。

といった感じだったと思います。話はヒートアップしていき、「鈴木」が私に対し、

「頭おかしいんじゃないのか」

と言って立ち去るという気分の悪いものになりました。店長である「田中」に講義したところこの問題は彼が引き継ぐと言うことになりました。

店長「田中」

 引き継いだ「田中」とは今後月一一年間議論にもならない話を続けなければならないという地獄が待っていました。各々の主張はこんなところ。

「私」中古品なのだから返品か交換をしてほしい。

「田中」一度でも使ったのだから(中古品を送ってきつつ)返品交換はできない。10万円くらいの製品となら交換してもいい。あるいは一度でも使ったのだからメンテナンス料(全額)を支払え。

 この主張をもとにした話し合いをなんの進展もなく一年間続けるというよくわからない状況になってきました。とくに「田中」の中古品を送りつけておきながらメンテナンス料をすべて私に押し付けようという考えは異常ですし、はやくこちらが諦めるのを待っているようでした。苦情が来ても客側に諦めさせようと対応する販売店、結構ありますよね。

 そして一年ほどたった頃、「田中」からこのような言葉が吐き出されました。

「田中」返品交換に応じないということは、もう本社との話し合いで決定しているから応じない。

 そのなれば取るべき行動は一つです。本社に問い合わせました。「本社」の方の話し方から私には実際には「田中」「本社」の担当者にもう一年間も揉めている話をしたら、

「本社」えっ! 一年間も続いているのですか!

と驚かれていました。それはそうです。中古品を送りつけて返品交換に応じないのは異常ですよね。本社の担当の方に支店を伝えたところ、「田中」の態度が変わり、新品と交換ということになりました。こんな簡単に態度を変えられるなら、一年前にしてほしかったのです。「田中」
「突然本社に連絡するとは思いませんでしたよ。」
と不服そうに言いましたが、本社と話し合いがなされたのなら本社にも連絡するのは特別なことではないと思うのですが、そこまで考えてなかったのでしょうね。

 一年間も疲れましたが、続けられたのはやっぱり若さかしら。







 私はいまでも怒りに満ちている。

(ed.2506)

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